2022.07.03
構造計算と壁量計算の違い ②
注文住宅=フリープラン?
初めて家づくりされる方がフリープランと聞いて、何でも自由に思い通りに間取りが出来ると思われる方も少なくないと思われますが、構造の強さという側面をしっかり検討しながら「強度を確保出来る範囲の中でフリープランが計画出来る」ということが、注文住宅におけるフリープランという事になります。
では、その強度の検討の仕方はどのような方法があるかというと、4号建築物であれば壁量計算という計算方法と、許容応力度計算という構造計算方法の2つになります。
4号建築物については過去のブログで詳しく載せてありますので参考にしてくださいね。
この2つの計算方法の強さの表示の仕方はどちらも一緒で、耐震等級の1から3で示すことが出来ます。では、この計算方法、同じ等級であれば強さも同じなのかという事が気になってくると思います。結果からいうと、強さは違います。
計算方法を例えるなら、病院で受ける半日程度の健康診断と、入院して受ける人間ドックや精密検査の違いと似ているように思います。健康診断と精密検査とでは検査項目の多さ、細かさに違いがあるように壁量計算と許容応力度計算(構造計算)もチェック項目の多さ、細かさに違いがあります。
強さについて例えるなら、空のダンボール箱をイメージしてください。
そのダンボール箱をしっかりガムテープで蓋をしたのと、上面が開いているダンボール箱。
どちらも4面の側面がありますが、強度は同じでしょうか?
端的に計算方法をまとめますと、
壁量計算とは、屋根の重さ(コロニアルor陶器瓦orガルバリウム鋼板)を基に計画したプランの縦軸と横軸のそれぞれ4分割した中で、耐力壁の量を数える方法です。
数が足りなければ分割された中のどこかに耐力壁を増やす事で調整できて、簡易的に計算できる方法です。耐力壁のバランスを取ることや偏心、接続強度のN値計算も必要ですが、その他については考慮されない計算方法なので、強さの根拠が乏しい計算方法ですが、時間も手間も掛からないコストパフォーマンスに優れています。
構造計算とは、部材のそれぞれの強度(屋根、柱、梁、床、基礎、接合部)をデータとして必要としそれらを基にプランの構造計算を行い、部材が破壊しない安全な強度を圧縮、引張、曲げ、せん断などの許容応力度を科学的に計算する方法です。
構造部分が強くても基礎が弱ければ意味が有りませんので基礎についても計算を行い、部分的に荷重が集中する結果であれば、基礎にも地中梁を設けたりもします。
構造計算、許容応力度計算をする事で科学的に強さを証明することが出来るのですが、計算量が膨大な為に、計算書は数百枚にもなり、時間も費用も手間も掛かる計算方法です。
どちらも一長一短があり、どちらかが正解、不正解ということでありません。どこまでを求めるかについては、それぞれ考え方は有ると思います。よく検討した上で家造りを始めていただければ幸いです。